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投資物件の購入に米国不動産会社を起用する意義

米国の不動産に投資されたい方をサポートするにあたり、日本の不動産会社と、米国現地の非日系不動産会社では、役割やサービスの提供の仕方が異なります。日本の会社は、自己所有した投資物件を転売します。弊社は利益相反を避け、市場から都度最良の物件を探して取引を仲介します。この違いと帰結を詳しく解説します。

日本の不動産会社

日本の不動産会社、及びその一部の米国子会社は、米国の売主から不動産を購入し、「X%の表面利回り」「年Y%の価格上昇が見込める」「優良投資用不動産」と宣伝して、主に首都圏で開催する「不動産投資セミナー」に集まる投資家に販売、つまり転売します。築数十年の相当古い物件を購入してリノベーションを行ってから販売する例も多数です。

それらの会社のウェブサイトでは、弁護士・会計士・医師・会社経営者など、社会的信用が高そうな顧客の声を多数紹介しているため、海外投資物件といえばそのような不動産会社から購入するのが普通だと一般消費者に思わせる効果があります。なお、高所得者の顧客が多いのは、そういった層に電話を繰り返して勧誘するためです。

米国の不動産会社

米国の不動産会社は、お客様が米国の売主から不動産を直接購入するための仲介を行います。不動産を購入する投資家の「代理人」ですので、買い手の利益のために行動する法的義務があります。

仲介業務は広範囲にわたります。不動産市場を調査し、立地や状態が良く、価格が妥当で、将来性がありそうな物件を選別・ご提案します。内覧後は、お申し込み・購入手続きのサポート、弁護士のご紹介、売主との交渉を行います。

仲介料は売主が全額負担するため、買い手は無料で仲介サービスを受けられます。

お客様が日本の不動産会社を使ってアメリカの投資物件をご購入になる場合、次のようなデメリットがあります。

日本の不動産会社は投資家の「代理人」ではない

買い手である投資家から見て、日本の不動産会社は物件購入に関する「代理人」や「アドバイザー」ではなく、「売主」「取引相手」です。投資家に公平な助言を与える法的義務は有していません。

仲介でなく転売を行うことから、お客様に提示される選択肢は、その不動産会社が数か月前、あるいは1年以上前に購入した投資用物件に限られます。お客様に最も適した投資物件をその時市場に出ている物件の中から提案してくれることはありません。

彼らは自社の在庫資産を販売しますので、お客様にその短所やリスクを敢えて説明しません。また、営業担当者が説明する「想定価格上昇率」や、それに基づいた「数年後の物件価値の試算」は、過度に楽観的になりがちです。

対照的に、米国の不動産会社は一般投資家への転売を目的として不動産を取得することはなく、お客様の代理人として客観的なアドバイスを提供します。日本と違い、代理する顧客の利益のために最善を尽くすという法的義務を負います(Fiduciary)。

ブラックボックスが多く、市場よりかなり高い販売価格

転売物件では売買が一回多い分、不動産取得時の諸経費不動産取引税が多くかかります。それら手続き費用は想像がつきますが、他に、評価不能なブラックボックスがあります。

それは、リノベーション費用と、その不動産会社の営業費用利益(マージン)です。リノベーション費用も通常考えられる範囲より高額で、透明性ある実費とは言えません。

下の図は、アメリカの地方大都市で日本の不動産会社が販売中の投資物件二つについて、販売価格の内訳をご説明したものです。(クリックで拡大します。)

注: 図中の「リノベ後の評価額」は、Zillow 社による

ポイント
  • 評価額を遥かに超える価格で日本人投資家に売り出されています。
    • 物件A: 市場評価額より30%、$89,000割高
    • 物件B: 市場評価額より27%、$81,000割高
  • 売主である日本の不動産会社が大きな利益を先取りします。
  • 投資家はこれらの物件を購入した瞬間に、購入額と評価額との差額である含み損を抱えます。含み損を解消できるかどうかは市場価格が上昇するか次第ですが、後述のようにその期待は薄く、リスクは全て投資家が負います。

不動産に限らず、マイナスからの投資例を他に見聞きすることはなく、これらは尋常な投資と言えません。

多くの投資家は、周囲の不動産と比較した適正価格を判断できません。そのため、不動産会社が宣伝する「住宅価格想定上昇率」や「賃貸収入の想定利回り」に頼って購入を決めてしまいます。

リノベーションにかけた費用だけ物件価値が上昇するわけではありません。リノベーション後の評価額は、周囲の物件がどういった価格で売れているか次第です。

これらの物件購入者の殆どは、家賃収入で満足している間は、高過ぎる物件を掴まされたことに気付かないでしょう。売却しようとして初めて、評価額が購入時からあまり上がっておらず、想定価格では売れない現実に直面します。

日本の不動産会社は、投資家に説明するシナリオに無理があると承知しながら、それを信じさせようとしています。そのシナリオでなければ、割高な物件販売価格を正当化できないからです。

立地の軽視、物件価格についての誤った見通し

米国不動産の購入においては、昔から立地が何よりも重要とされています。日本と違い、立地により周囲の環境、住民の構成、公立学校の良し悪しなどがかなり違い、それらが将来の物件価値を大きく左右するからです。

オープンハウスなど日本の不動産会社はこのセオリーに反し、リノベーションしてマージンを大幅上乗せすることを前提に、立地を重視せず、とにかく安くて古い物件を仕入れます。

一つの理由は、耐用年数を過ぎた住宅では簡便法による加速度減価償却が可能で、所得税と通算した節税効果を勘案すれば、割高な住宅でも購入する日本人が存在したためです。しかし本邦の税制変更により、2021年度から加速度減価償却が不可能になり、また海外不動産の償却費を国内所得と通算することができなくなりました。

もう一つの理由は、アメリカ地方都市の不動産なら、一定数の日本人投資家が購入可能な価格であることです。しかし、立地がいまひとつで古い物件の価値は、リノベーションを経たところで、市場と同じ年率では上昇しません。日本の不動産会社が大きなマージンを乗せて転売した後では特に、そこから周囲の物件と同じだけ価格が上昇すると考えるのは誤りです。将来の価格上昇分も彼らが先取りするわけです。

アメリカ投資物件の転売には以上のような多数の問題点があるため、弊社はそのような日本式の業務形態をとっていません。仲介により、投資家にとって最良のサービスや助言を提供します。

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 ➡ 《 不動産会社の所有物件を買ってはいけない ~ 某社の転売事例、調査の重要性 》


2024年11月9日最終更新