Oxford Property Group

Financial District (FiDi)  ファイナンシャル・ディストリクト

左:28 Liberty St 正面の彫刻 'Group of Four Trees'
右:Fulton Streetの高層住宅からの眺め

Fulton St Wall St
Courtlandt St  Chambers St
 金融街からの転換、商業施設と住宅の急増

略して "FiDi" (ファイダイ) と呼ばれる、ウォール街を中心とするマンハッタン最南端のエリアです。NYSE (ニューヨーク証券取引所)、Federal Reserve Bank of New York (ニューヨーク連邦準備銀行)、City Hall (市庁舎)などの歴史的建造物と、フランク・ゲーリーが設計した高層アパートメントや、新築オフィスビル、高級ホテルなどの近代的な建物が混在しています。

金融を中心としたオフィス街だとご想像の方が多いですが、現在、ウォールストリートに大手民間金融機関は存在しません。証券取引の電子化に伴って金融機関がNYSEの周辺に集まる必要性が薄れ、数十年前から商業銀行、投資銀行、大手証券会社やヘッジファンドが断続的にミッドタウンに移転しました。残った大手金融機関は、ダウンタウンに範囲を広げても、バッテリーパークシティーに本社ビルを建設したゴールドマンサックスと、FiDi西部のBank of New York Mellonのみです。ただ、FiDiから金融業の会社がなくなったわけではなく、格付機関のS&P Global、Moody's、それにFitch、いくつかの公的年金基金、中小の証券会社やヘッジファンド、非営利団体の基金が存在します。

大手金融機関が転出した後に、FiDiは住宅でもオフィスでも新しい発展を遂げました。まず、古いオフィスビルが幾つも住宅に全面コンバートされたり建て替えられ、居住者の人口が増加しました。オフィス街としては、9/11のテロから13年後に開業した One World Trade Center や周辺の新築ビルが、パンデミックの頃までにマンハッタンで最も高い人気を集めるようになり、多様な業種の企業が移転して活性化しました。主要なテナント企業には、Condé Nast(ヴォーグ、ヴァニティ・フェア、ザ・ニューヨーカーなどを出版)や放送局などのマスメディア、Spotify、Moody's Invetors Service、ABN Amro Bank、Casper Sleep(機能性マットレスで有名な新興企業)があります。大手アパレル企業が増えたことも特徴的です。良く知られた会社では Hugo Boss の米国本社が移転してきましたし、2025年春には Brooks Brothers が旗艦店を Nobu と同じ建物にオープンします。隣のバッテリーパークシティにも J.Crew が本社を移しました。

住宅の開発が進んでファイナンシャルディストリクトの人口は2000年から2倍以上になりました。加えてホテルも多く、観光やビジネスの需要があります。個人的には、引率者を伴って団体行動するグループを最も頻繁に見かけるのがFiDiです。

FiDiの南端にはバッテリーパークシティにかけて広がる公園 The Battery があり、散歩、ランニング、ベンチや芝生での日光浴、ピクニック、魚釣りをする人々が見られます。


 住宅の特徴

オフィスビルを住宅用に転換した広い物件から、新築やリノベート済みの大型賃貸・コンドミニアムまで、住宅が豊富にあります。オフィスビルをコンバートした集合住宅には、戦前に建てられて("Prewar")随分前に住宅にコンバートされたものもあれば、数年前に全面的にコンバートされた新築のような高級賃貸住宅もあります。(なお、このエリアの Prewar の建物は、外壁がしっかりしており、内部も高品質にリノベートされているものが多数です。) 住宅の供給が多く、貸主間の競争が熾烈なため、立地や品質の良さのわりにリーズナブルな家賃または販売価格の住宅が多かったのですが、コロナ禍以降、オフィスも住宅も人気が高まり、家賃が結構上がりました。

高収入で職住近接を好む方々 (例えば World Trade Center に徒歩で通勤する方) に人気があります。


 学校・教育施設

公立学校はどれも高い評価を得ているため、学校を中心にお住まいをお考えの方にも人気があります。この点は西隣のバッテリーパークシティやトライベッカと共通しています。

唯一無二の学童向け施設としては、Complete Playgroundと呼ばれる、マンハッタン最大の屋内遊戯施設があります。NPOが運営し、4万スクエアフィート (約3,700平米) の広さがあり、様々な年齢の子が、身体的障害あるいは発達障害のある子も含めて、それぞれに合った多数のアクティビティを (図工、武術、インドアクライミング、誕生パーティーさえも) 楽しむことができます。クラスやサマーキャンプも開催されています。

NYCの他のエリアと同じように、ニューヨーク公立図書館も当然あります (NYPL New Amsterdam Library)。

 商業地区 ・ 芸術施設

PATHやNYC地下鉄のハブ・ステーション上に復興の象徴として2016年に建設された The Oculus(オキュラス)は、大型ショッピングモールでもあります。加えて展望台のある One World Trade Center、イタリア食材のマーケット及びレストランとして文化の発信地にもなっている Eataly Downtown(イータリー)、The Battery(公園)内の Castle Clinton National Monument、アメリカ合衆国独立前後の建築物、またニューヨーク周辺にも多数居住していたアメリカ先住民の美術や歴史を扱った Smithsonian National Museum of the American Indian があり、見どころの多い地域です。

最新の劇場・コンサート会場である Ronald O. Perelman Performing Arts Center(通称 "PAC")が One World Trade Centerの東隣に建設され、2023年9月に初演が行われました。この周囲に Pace University や New York University と提携したアクティングスクールが2校あり、これまでのリンカーンスクエア、ミッドタウン、チェルシーに次いで、芸術面での活性化が期待されています。

スーパーマーケットは各所にありますので食料品の購入に困ることはありません。特に、2023年に Whole Foods Market がウォールストリートにできました。Whole Foods Marketは隣の地区のトライベッカにもありますから、いかにファイナンシャルディストリクトで人口が増えているかを示唆しています。2025年3月にはWhole Foods Marketの隣にフランスの百貨店 Printemps (プランタン)が開業しました。



The South Street Seaport (シーポート)は、ファイナンシャルディストリクト東部の歴史的保存地区です。蒸気船があった頃からの建物を保存しつつ、博物館やいろいろな小さな商店や飲食店で賑わっていて、屋外でアートの展示が頻繁に行われます。独立系書店の McNally Jackson Books も新店舗を構えました。この地区に書店が現れたのは意外でしたが、元々人気がある書店ですし、観光客も近隣住民も立ち寄れる場所として、この地区に良い効果をもたらしているように見えます。東にイーストリバー沿いまで抜けると、一帯は Pier (ピア/埠頭)で、フェリーの発着場もありますが大部分はレストランを中心とした商業地区になっています。特に、Fulton Fish Market がブロンクスに移転した跡地が2022年に再開発され、ジャン=ジョルジュ(Jean-Georges Vongerichten)が経営に関わる "The Tin Building" ができました。これは多数のカジュアルなレストランと食料品及び物品販売の複合施設ですが、テーマパークの要素があり、体験による満足も目指した、ジャン=ジョルジュ版の Eataly と目されています。

 レストラン

ビジネス客や観光客、住民人口の増加に伴い、高級店からファーストフード店まで幅広い価格帯と種類のレストランがあらゆるところに存在します。例えば South Street Seaport地区 や、石畳のその名も Stone Street が良く知られていますが、Fulton Street や Wall Street 周辺にも増えています。また、Jean-Georges Vongerichten の The Fulton、Daniel Boulud の Le Gratin、トライベッカから 2017年に移ってきた Nobu の旗艦店など、世界的に有名なシェフのお店があります。他には幾つものステーキハウスや、Union Square Hospitality Group が経営する、高層ビルの最上階に入った Manhatta も見逃せません。FiDi から少しだけトライベッカに入ったところには日系ベーカリーがあります。

毎週近郊の農家が作物を販売するグリーンマーケットが開かれます。

 交通

地下鉄、New Jersey に向かう PATH トレイン、ブルックリン・ベラゾノブリッジ、ヘリポート、NYCフェリーなど、マンハッタン内外への交通アクセスが抜群です。特に地下鉄は、マンハッタンの東を走る緑のライン(4/5/6)と、中央付近をBroadway沿いに斜めに走る黄色のライン(R/W)、西を走る青・赤のライン(A/C/1/2/3)が FiDi に集まり、ここからブルックリンの複数方面に分岐していくため、どこに行くにも便利です。ブルックリンの IKEA には Wall Street からフェリーに乗るのが速いです。

ミッドタウンへの所要時間も短く、地下鉄 Fulton St 駅から Grand Central 駅まで 12分です。

 FiDi は清潔 ― The Downtown Alliance の活動

ファイナンシャルディストリクトにはごみが落ちておらず清潔だと、お客様からご感想を頂いたことがあります。大きな理由は、The Alliance for Downtown New York という NPO が清掃活動を行っていることです。The Alliance はそのほかに、歩道の整備、ゴミ箱の設置、観光案内所(Kiosk)の運営、ダウンタウン内での無料バスの運行を担っています。FiDi に来られた方なら、赤いポロシャツやジャケットを着て道案内する人を見かけたことがあるでしょう。その人たちは The Alliance の一員です。The Alliance は、Downtown-Lower Manhattan Business Improvement District (BID) を中心とした、City Hall 以南のほぼ全域で活動しています。

2025年7月4日 最終更新

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