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Long Island City ロングアイランドシティ

Long Island City • Hunters Point ロングアイランドシティ • ハンターズポイント

左:インタリアンレストラン Levante
右:賃貸ビル群と、Pepsi Coの工場跡に保存された看板

Vernon Blvd-Jackson Av
Court Sq-23 Queens Plaza
Queensboro Plaza; NYCフェリー
 場所と歴史

クイーンズ南西部の地域です。19世紀まで独立した市だったために名称に "City" が付きますが、ニューヨーク市の一部です。"LIC" との略称でも呼ばれます。西はイーストリバーに、南はブルックリンのグリーンポイントに接します。北の境界はクイーンズボロブリッジにつながる幹線道路ですが、その北側のダッチキルズも含んで呼ばれることが多いようです。エリアの中央部を南西から北東にジャクソン・アベニューが通ります。

戦前から1960年代までは (上の Pepsi Co の看板が示すように) 製造業の拠点として栄えましたが、1970年代には多数の工場が非都市部に移転して衰退しました。その後、アーティストの流入に続いて、政策的な都市開発が始まり、2000年代にはゾーニング (用地の利用目的指定) の変更により宅地開発が促進され、今の近代化に至ります。Google Street View の更新が間に合わないほどの速さで開発が進みました。数々の壁画が異彩を放っていた芸術家グループの拠点 5 Pointzも遂になくなり、大型賃貸ビルに取って代わられました。

 内陸側(コートスクエア、クイーンズプラザ)の住宅・商業施設・交通

コートスクエア Court Square には、最近までシティグループが入居していたオフィスビル One Court Square や、ニューヨーク市立大 CUNY のロースクールが入ったオフィスビルがあり、そこから北のクイーンズプラザ Queens Plaza にかけて多数の賃貸ビルやコンドミニアムが建設されました。現在では工事中の建物がずいぶん少なくなりました。なお、コートスクエア周辺から西の広い範囲では、ゾーニングにより建築物の高さが8階以下に制限されていますので、マンハッタン方面の眺望が維持されます。

スーパーマーケットは複数、特に Foodcellar Market と Trader Joe's がある他、Queens Plaza 駅そばの新しい商業ビルディングに大きなフードホール(JACX)、小型のスーパーマーケット(City Acres Market)、病院(New York Presbyterian Hospital) がオープンしました。また、若手アーティストの作品を主に展示する MoMA PS1があります。

マンハッタンまで地下鉄 EMRw ラインで一駅、 7ラインで三駅。

 イーストリバー沿い(ハンターズポイント)の住宅・商業施設・交通

イーストリバー沿いは、ロングアイランドシティの中でも昔からハンターズポイント Hunters Point と呼ばれるエリアです。2000年代以降に建設された高層賃貸ビルが並び、川沿いの広い遊歩道や公園 (Gantry Plaza State Park) は、散歩や日光浴する人で賑わいます。北部にはフェリーターミナルがあります。異色の建築デザインの図書館も2019年9月にオープン。スーパーマーケット(Foodcellar Market)、日系グローサリーストア、コンビニエンスストア、レストラン、フレンチベーカリー&パティスリー、カフェ、クラフトビールの醸造所&バーがあります。

ハンターズポイントのウォーターフロントのうち、南部は2020年以降に更に開発が進み、大型賃貸住宅が複数建設されました。また、公園 Hunters Point South Park も整備され、広い遊び場やバレーボールの屋外コートが設けられました。LICで二つ目のフェリーターミナルもできました。人口が増えたため、このエリアに小学校も新設されました。

ミッドタウンのグランドセントラル駅まで地下鉄7ラインで一駅。対岸の国連本部やその周辺、ブルックリン、ウォールストリートなどには NYC フェリーが便利です。また、LIRR(ロングアイランド鉄道)でクイーンズの北部・東部およびロングアイランドに通勤する方や、JFK空港を頻繁にお使いになる方々が、普段の交通の便の良さとマンハッタンへの近さの両方を理由にロングアイランドシティをお選びになるケースも多いようです。

 クイーンズボロブリッジ以北(ダッチキルズ)の住宅と環境

ダッチキルズ (Dutch Kills) はLICとアストリアの間のエリアで、本来はLICに含まれないようですが、特に南側はLICとして紹介されることが多くあります。物騒そうな地名ですが、"Kill" はオランダ語で小川・水路の意味です。ダッチキルズは、南側を東西に走る幹線道路(Queensboro Bridge Path; New York State Route 25)によって ロングアイランドシティの主要エリアと分断されていて、後者と趣が異なります。


ダッチキルズの中でも南西部分は、ニューヨーク市住宅公社の住宅群が占めます。民間の中型賃貸住宅が多いのはダッチキルズの南東部です。ロングアイランドシティの中心エリアと比べて家賃は若干低めです。消費者向けの商業店舗は少なめで、北に向かうほど、低層の住宅、シャッターが閉まった倉庫やガレージ、自動車整備工場が多くなります。長らく使われていなさそうな建物も目につき、街の雰囲気が大分違います。

 マンハッタンやブルックリンの人気地区との違い

ロングアイランドシティの街並みはマンハッタンやブルックリンとかなり違いがあります。最たる点は、ロングアイランドシティには年代的な層の厚みや文化的な多様性があまり見られないことです。ヨーロッパの食文化の影響があまりなく、それはベーカリーやフレンチレストラン及びタパスバーの少なさや、個人営業の精肉店のなさに現れています。高層ビルが多いため、古い街並みにならフィットしそうなスモールビジネスは、飲食店を除くと少数です。書店は一つのみで、古着屋や古書店はなく、ブティック型のアパレル店も2つくらいでしょうか。ジューイッシュの食文化を伝えるお店も僅かです。そういったものへの関心が強い人はマンハッタンかブルックリンに行く必要があります。

では、「ロングアイランドシティは新興住宅地で新しいオフィスビルもあるのだから、大型店や全国区のチェーン店が多数参入しているか?」と言うと、それも違います。Apple のような大手ブランドの店舗も、量販店も、大手ホームセンターもありません。スーパーマーケットでは Trader Joe's と都市型店舗のTarget ができましたが Whole Foods Market はありません。他には、サラダチェーンでは Sweetgreen が2023年にコートスクエアにようやく開店したのみですし、マンハッタンでオフィスワーカーがランチを購入する先となっている DIG (Dig Inn) や Pret A Manger、Le Pain Quotidien もありません。ハンバーガーでは、NYCローカルの Bareburger はありますが、Shake Shack、Five Guys、Smashburger、世界的に展開する大手バーガーチェーンや、チキンサンドイッチの Chick-fil-A はありません。大手やNYローカルのピザチェーンもないようです。NYCで展開する西安風のスパイシーなファーストフード(麺類)のお店、Xi'an Famous Foods はあります。

知名度の高いお店が少ない主な理由は、開発されたエリアが狭く、LICの中央部やLICの周囲が取り残されていることと、開発が住宅中心だったためと推察されます。もう一つの理由は、企業がロングアイランドシティーの人口動態や家族構成を参考に、需要がそれほど大きくないと判断している可能性があります。一方で、ローカル資本で現代の客層に訴求しそうなお店が最近も少しずつ、イーストリバー沿いやジャクソン・アベニュー沿いに開店しています。それが大資本のビジネスがこの地域に進出しないから可能なことであるとしたら、その面で長期的な街づくりに期待が持てます。

 賃貸住宅選びのポイント

ロングアイランドシティは、工場や倉庫と古い低層住宅が混在した状態から、その一部のエリアが現代的な住宅地に生まれ変わったという特徴から、マンハッタンにありがちな「立地は良いが古いので、(リノベートはされていても)築浅住宅より家賃が抑えめ」といった住宅が殆ど見当たりません。比較的新しく大型の賃貸住宅は、利便性が高い駅周辺に集中しています。


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2025年7月28日 最終更新

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