Upper East Side アッパーイーストサイド
Third Ave のスペシャルティグローサリーストア。Zabar'sの現経営者の弟が創業。
概要
アッパーイーストサイドは、セントラルパークの東側の、南は59丁目、北は96丁目までの広いエリアです。77丁目までの南はレノックスヒル、Third Ave から東側の79丁目から96丁目まではヨークビル、Third Ave の西側の86丁目から96丁目の間(しかし近年は不動産開発会社の都合で 98丁目までを含める)はカーネギーヒルです。アッパーイーストサイドの日本人駐在員の大半がお住まいなのは、ヨークビルか、レノックスヒルの北東部か、近年「カーネギーヒル(の一部)」と宣伝される96丁目より北(つまりイーストハーレム)です。
昔はマンハッタンを代表的する高級住宅地と一括りに言われ、日本語の情報源は今でもそう伝えることが多いですが、一言で説明することは難しく、場所により住人と雰囲気が異なります。また、過去数十年の間に開発されたマンハッタンの他のエリアに「高級」の座を譲り、最近の世代のセレブが住むという話を聞かなくなりました。
それでも家賃が高めなのは、新しく物件を建てる場所が残されていないという需給の問題と、外観を残して改修された一部の伝統ある物件が高く評価されることによります。全体的には古い小・中規模のコープ(”Co-op”, Cooperative Apartment)やタウンハウスが依然として多く、新しめの高層住宅は少数です。室内洗濯機付きの物件は非常に少なく、反対に、エレベーターやランドリールームがない古い物件がそれなりに存在します。伝統あるコープは購入・賃貸の際の審査が厳しいことが殆どで、裕福なら誰でも購入したり入居できるわけではありません。これらの事情から、住人層や世代間人口の入れ替わりがゆっくりしているようです。
五番街とマディソンアベニュー
高級住宅街として代表的なエリアは、セントラルパークの東を南北に走る Fifth Ave(五番街)から Madison Ave 周辺、東は Park Ave の手前までです。このエリアでは、東西の通りに商業施設はめったに見当たりません。プライベートスクールの制服を着用した生徒が目を惹きます。
メトロポリタン美術館(The Met)、グッゲンハイム美術館、ノイエギャラリー、クーパーヒューイットデザイン美術館付近の Fifth Ave は「ミュージアムマイル」と呼ばれ、美しいライムストーンの歴史ある建造物が並びます。
Madison Ave の特に60丁目から70丁目台にかけて、ブルネロクチネリ、エルメス、ロロピーアナ、ヴァレンティノを始めとする世界的高級アパレルストアや宝飾店、有名デザイナーのブティックストアが存在します。アップルストアやラルフローレンもあります。また、85丁目には地元の老舗高級グローサリー Butterfield Market が 2020年に新店舗をオープンし賑わっています。
レキシントンアベニューとサードアベニュー
Park Ave から東は、築数十年から築浅の高級高層住宅が低層の建物群(といってもその中には古びた建物から超高級タウンハウスまで様々)の中に点在し、少し通りが違うだけで雰囲気が変化します。このうち、Lexington Ave と Third Ave にかけて、とりわけ Third Ave に沿って、ファーストフード、バー、ベーグルストア、レストランがたくさん見つかります。
大型の賃貸専用住宅は、この二つの大通り周辺には僅かです。散在する建設中の建物は、たいてい高級コンドミニアムです。それらがガラス張りの住宅ではないのが興味深いところです。
セカンドアベニューからヨークアベニューまで
Second Ave、First Ave、York Ave沿いの、特に70丁目より北には、大型コンドミニアムや賃貸専用物件がそれなりに存在します。2017年に地下鉄ラインが Second Ave 沿いに開通したことで、このエリアに住む方の通勤・通学が便利になりました。それまでは Lexington Ave 沿いの
ラインかバスしかありませんでした。
ここ数年の間に新しいレストランがところどころに増えたようで、その中には和食のお店も含まれます。Third Ave から東に進むと次第にレストランの数も種類も減少し、種類の点では昔の住民に好まれたであろうイタリアンレストランやデリカッセンの割合がやや増えます。ただ、この地域のレストランやバーの多さは借りやすい商業スペースの多さにも関係します。低層で古い建物が多く、その1階に入った飲食店が多数目につきます。
上記の東西の範囲のうち、79丁目より北のエリアがヨークビルです(地図右下のアイコンをクリックすると拡大します)。
下はヨークビルの79丁目から92丁目を順に写したものです。
レノックスヒルは、アッパーイーストサイドのうち 77丁目より南の全域です。住宅が見つかりやすいのは エリア北東の Second Ave から York Ave にかけてです。
エリア南側の Lexington & 59 St の地下鉄駅周辺は利便性が高く、高級百貨店 Bloomingdale's もある、いわば一等地です。また、レノックスヒル内の Third Ave 沿いには、Lululemon、Nike、Alo、New Balance など知名度が高いスポーツアパレルブランドや、その他の全国ブランドからローカルビジネスまでの消費者向け商業店舗、そして銀行やドラッグストア(コンビニエンスストア)など生活に必須の商業施設が集まっています。
下はレノックスヒルの主に北部の、First Ave および York Ave 付近を写したものです。(冒頭のスーパーマーケット Trader Joe's はエリアの南の境界にあります。)
(ご参考)カーネギーヒル
カーネギーヒルは本来アッパーイーストサイドの一部で、Third Ave より西側の、86丁目から96丁目までのエリアです。その名称は、Andrew Carnegie がこの地の邸宅(現在 Cooper Hewitt Sumithonian Design Museum として使われている建物)に終生まで住んだことに由来します。
しかし 2000年代から、北に隣接するイーストハーレムに開発された不動産の宣伝のために、98丁目まで (しかも Third Ave の東側も) が「カーネギーヒル」と呼ばれるようになりました。ある不動産仲介会社はそれどころか、100丁目近辺までを「アッパーイーストサイド」と称して賃貸物件や投資用不動産を紹介していますが、96丁目より北はイーストハーレムです。
ニューヨークの住宅街は今でも、もともとの地区の境界付近で住人や佇まいが大きく変わり、建物が比較的新しくてもその周辺は開発前の趣が色濃く残っていることに皆様は留意されるべきです。政策的な古いレントスタビライズド (Rent-stabilized) 住宅が多い場所では、住人層が長年固定されるので特にそうなりがちです。
アッパーイーストサイド、ウェストサイドの賃貸空室情報は こちら
2022年5月10日 最終更新