Oxford Property Group

Williamsburg ウィリアムズバーグ

再開発される直前のDomino Park. 夏の終わりの風景。後ろはWilliamsburg Bridge.

Macy Ave, Hewes Ave Graham
Ave, Bedford Ave Metropolitan Ave
フェリー:North/South Williamsburg
 概要

ウィリアムズバーグの発展の契機は1980-90年代に遡ります。アーティストやミュージシャン達がアパートの広さと安さに惹かれてマンハッタンから移住し、それに続いて独立系の小さな小売店や、お洒落なカフェ、バーが増えました。その後、Apple Store や Whole Foods Market がオープンするなど急速に発展し、大型住宅が開発され、より洗練されたエリアに変わると同時に家賃も上昇しました。1990年代に移り住んだアーティストはとっくにいなくなり、今住んでいるクリエイティブ職の住人はマンハッタンかブルックリン北西部で会社勤めをする人たちと言われています。和食のレストランも見かけます。グリーンポイントとの境目に大きな公園 (McCarren Park) があり、静かな住宅地では低層の建物が多数です。

 ウィリアムズバーグ西部

ウィリアムズバーグは、中心部を南北に走る高架の自動車道 Brooklyn Queens Expressway の東側と西側に大別することができます。人気があるのは西側で、様々な消費者向け店舗、レストラン、カフェ、大型スーパーマーケットが混在します。住宅街のなかに各種商店が多数散らばり、適度な賑わいや楽しみが落ち着きと同居する趣が魅力です。

ウィリアムズバーグの中心部 Bedford Ave

Bedford Aveには地下鉄Lラインの駅があり、その付近を中心とした半径数ブロックの範囲がウィリアムズバーグの中心地と言えます。スーパーマーケット、レストラン、カフェ、バー、独立系の書店、各種雑貨店、ブティック、ランジェリーショップ、眼鏡屋さん、ヨガスタジオなど、様々な種類のお店が集まっています。

ジェントリフィケーションがかなり進んだと言われるものの、中小事業主のお店はまだ多数存在します。それに加えてニューヨーク近郊や全米でチェーンを展開するお店が多く、様々な住人の要望を満たすエリアであると言えます。ニューヨークのローカルビジネスとしては、McNally JacksonLe LaboPartners CoffeeJoe's Pizza、Martha's Country Bakery、Xi'an Famous Foods があります。全米または世界ブランドのビジネスでは、Apple、Blue Bottle Coffee、(ニューヨークで創業された会社ですが) Shake Shack、Aesop、Supreme、Lululemon、MUJI、J.Crew、Levi's、Herman Miller が出店しています。


McCarren Park 周辺

Bedford Ave を北に進んだ先、ウィリアムズバーグ北部の McCarren Park (マッカレンパーク) には広い芝生があり、家族や友人同士で談笑したり、ピクニックのように楽しむ人、時には一人で木陰のハンモックにぶら下がる人がいるなど、色々な楽しみ方が見られる憩いの場です。ソフトボール場、体育館、陸上トラックと人工芝の多目的フィールドがあり、夏季には巨大な屋外プールが無料で利用できます。プールの大きさは49万7千スクエアフィートで、オリンピックサイズ・プールの3.7個分、強いて住宅になぞらえると広めの2ベッド住宅の41戸分です。詳しくは NYC Parks のウェブサイトにある案内ページからどうぞ。

この辺りには比較的新しめの中規模の賃貸住宅が多く、家賃は上記の中心部や下のイーストリバー沿いと比べて少し安いようですが、人気は高く、空室が出るとすぐに借り手がついてしまう賃貸ビルも少なくありません。グリーンポイントまで徒歩で行ける距離ですので、住めば楽しみが増えそうです。


ウォーターフロント

イーストリバー沿いにウィリアムズバーグブリッジを挟んで二つあるフェリー乗り場 (Google Maps - 北:North Williamsburg; 南:South Williamsburg) の周辺には、築浅で高層のコンドミニアムやアパートが建ち並び、お部屋によってはマンハッタンのローワーイーストサイドやファイナンシャルディストリクトを一望できます。


Domino Park (ドミノパーク) とKent Ave周辺は2010年代から何箇所もの用地で大規模な開発が行われました。比較的最近の例では、2019年から入居が始まった住宅とオフィスの複合ビルや、2024年に完成したコンドミニアムがあるほか、歴史的建造物のDomino Sugarの製糖工場は主要な構造だけを残して最新のオフィスに生まれ変わりました。広い公園は憩いの場として人気があります。このエリアの家賃は高い傾向です。なお、Domino Park は、ある住宅ディベロパーがニューヨーク市の指導を受けながら私有地に自ら開発しました。その経緯は こちら に詳しく載っています。

人口が増えるにつれて、託児所や、ペット用のケア施設や病院が増え、生活しやすい街に変化しています。2014年に創業したカフェ&コーヒーロースターの Devoción が以前から良く知られていましたが、当時のこの付近に今ほどレストランは多くありませんでした。今ではレストランも増え、2021年12月には Trader Joe's がオープンしました。マンハッタン周辺の Trader Joe's と違い、地下に車40台分の駐車場があります。



Kent Aveから一本東のWythe Ave沿いには、Rivianのショールームができていますが、良い立地を選んだと思わせられます。そしてそういった新しいお店の多くが、古い建物を活用してリノベートした商業スペースに入っていることがこの地域の特色です。



交通アクセス

マンハッタンに行くには地下鉄とフェリーが利用でき、フェリーで通勤する人もいます(特に国連職員の方)。South Williamsburg の乗り場を出たフェリーは、North Williamsburg、Greenpoint を経て、マンハッタンの34丁目に到着します。

最寄りの地下鉄駅は、Lラインの Bedford Ave や、MJラインの Marcy Ave です。午後5時過ぎにマンハッタンからLラインで帰って来る人の中に、スーツを着た人がCOVID-19の流行前でもまず見当たらなかったのは興味深いことです。


レストラン ~ ニューヨークに今定着している数々のスタイルはここから生まれた

「ウィリアムズバーグが発展する前、家賃が安かったロフト (倉庫などの商業用建物を改装した天井が高い住宅) にアーティストらが住み・・・」という話がさほど昔のことではないことは、地産地消を掲げナチュラルワインも置く今のニューヨークのレストランの潮流が、1999年1月にウィリアムズバーグ・ブリッジの近くにオープンした Diner (ダイナー) から始まったというエピソードからも分かります (※)。「素晴らしいロフトがあって、ロフトでのパーティーもたくさんあったのに、街にはお店がなく、誰もがコミュニティーが欲しくてたまらなく感じていた」と創業者の一人 Andrew Tarlow が回顧しています。ウィリアムズバーグのロフトに共同で住みマンハッタンのレストランで働いていた創業者2人は、別のレストランを辞めたばかりのイタリア系移民二世のシェフ Caroline Fidanza と共通の知人を介して知り合います。Diner では「家庭でも出されそうながら洗練されてとても美味しい」「季節の素材を使う」といったスタイルの料理が提供されました。その日のスペシャルはシェフやサーバーがテーブル上の紙に書き、時にはテーブル横に座って客に説明しました。客にはアーティストやミュージシャンが多く、そういった友達同士が集まる店として人気を博しました。

※ NY州郊外の農場に併設したレストランとして Blue Hill at Stone Barns が有名ですが、その開業は Diner より後の 2004年です。

シェフは持続可能な農法で育てられた地元農産物を使い、ニューヨーク州北部の農家と関係を構築しました。人気のハンバーガーを皮切りに、客の要望を取り入れて牧草肥育の牛肉を使うようになり、さらに、トレーサビリティーを確保するためニューヨーク州で生産された牛を一頭単位で仕入れ、肉を捌くための低温の部屋を店の裏に設けました。やがて近所に肉屋 Marlow & Daughters を開業し、肉はそこで仕入れて Diner に供給するようになりました。Caroline Fidanza はニューヨークで "whole-animal movement" を始めた人と言われています。また、Diner の歴代シェフの数人が、その後ブルックリンで知られるレストランを開き、広まった新しい様式あるいは文化のようなものは人々の尊敬と羨望を集めました。同業の起業家らしき人々が偵察に来店することもしばしばだったそうです。Diner は、近隣に高級住宅が多数できた今でも変わらず存続しています。Fidanza が後に別のレストランで考案した伝説のサンドイッチはこちら、レシピ集も出版されています


ウィリアムズバーグ周辺には他にも高い人気のレストランが誕生し、そういったお店のシェフが姉妹店を開いたりもして発展しました。また、マンハッタンで知られたシェフがお店を構えてミシュランから評価を獲得するようなエリアにもなりました。2025年現在、ミシュランの星を獲得したニューヨーク市のレストラン72店のうち、7店がブルックリンにあり、うち4店がウィリアムズバーグ西部に、2店がグリーンポイント (一つはウィリアムズバーグとの境界近く) にあります。

 ウィリアムズバーグ東部

南北に走る Brooklyn Queens Expressway の東側は、住宅の割合が高まり、西側にあるようなお洒落であったり知名度が高い商業店舗は殆ど見当たりません。しかしレストランやバーがあちらこちらに存在します。規模が大きな住宅開発は見られませんが、新築したりリノベートした低層でアメニティがない住宅がところどころにあり、人口移動が次第に東に向かって進んでいると想像出来ます。高架の道路があると、どうしてもその周辺が行き来しにくかったり街並みが連続しないため、西側の雰囲気はなかなか東には移らないようです。


2025年4月6日 最終更新

ウィリアムズバーグなど、ブルックリン北部・北西部の賃貸空室情報は こちら

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