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米国の家賃保証(第三者保証)を正しく理解する

ニューヨークシティで賃貸住宅を借りる際は、大多数の物件において、平均的日本人にとっては高めの収入基準をクリアする必要があります。2019年までは家賃1年分を前払いしたり敷金を多く払うことで収入基準を回避できましたが、法律改正 によりその手段は取れなくなりました。

収入が入居者審査の基準に満たない場合に他に取れる方法は、(1)ニューヨーク州近郊に在住する保証人を用意する (2)家賃保証会社の保証サービスを利用する のどちらかです。ここでは家賃保証会社(第三者保証機関、あるいは賃貸保証会社とも)に申し込むための年収要件をご説明します。

家賃保証会社は複数ありますが、どれでも申込者本人に求められる年収は賃貸物件の審査基準より大幅に低く、家賃1か月分の 27.5 倍(=家賃1年分の約 2.3 倍)の年収があれば保証サービスを受けられます。米国居住中の年収がそれに満たない場合、一定の預貯金を証明することでも保証を受けられます。保証会社により多少異なります。

また、保証料は、日系不動産会社の仲介料と比べると安価で、その約半分か3分の2以下です。家賃保証会社によっては、ある条件と引き換えに、大幅に低い保証料を提示することもあります。当チームを仲介にお使いいただければ、仲介料不要で家賃保証料だけで済む物件をご紹介できますし、仮に仲介手数料が家賃の1か月分必要であったとしても、保証料との合計は、日系他社の仲介料のみと同じか若干高い程度です。

但し、家賃保証はドアマンがいない非大手の賃貸物件の大部分では利用できません。

当チームは法律の改正前から、家賃保証会社を使ったお申し込みをお手伝いした経験が何度もありますので、手続きや、保証会社による違いを熟知しています。ここに記載していないノウハウを有していますので、詳細は仲介をご依頼される際にお尋ね下さい。

第三者保証への申込みに必要な基準については、2019年10月24日に US FrontLine に掲載された記事 により、他社が誤った情報を広めてしまいました。

https://web.archive.org/web/20191105171755/https://usfl.com/2019/10/post/125692

第三者機関の保証人会社の仕組みは、保証人会社の定める基準を満たせば保証人になるというものです。ただし、その基準が結構厳しく、英文での自国の口座残高証明書(家賃の80倍相当以上の残金が必要)、もしくは収入証明書(年収が家賃の50倍必要)、とハードルが高いのです。この条件を満たさない場合は、フィーのほかに余分に1~3カ月分相当の敷金を要求されます。

- US FrontLine 【ニューヨーク不動産最前線】 法改正により「第三者機関の保証人制度」が注目

家賃の 50 倍、80 倍という例示は確かに実際のものですが、この記事が説明するような、お申込者(つまりニューヨークで賃貸物件をお借りになる契約者)に求められる基準ではありません。これらの数字は、お申込者のご両親などが保証人として家賃保証会社にお申し込みになる場合の基準です。社会人経験のない学生には起こりうるケースですが、一定の収入や資産をお持ちの社会人には該当しません。

賃貸契約の本人が家賃保証に申し込む際の基準は、先にご説明した通り、原則として家賃の 27.5 倍の年収があることです。



改正されたニューヨーク州の法律についても間違った説明がなされています。

この新法の解釈は実は専門家の間でも意見が分かれています。上限設定が適用されるのは敷金のみだと解釈する派と、家賃も敷金同様に上限が適用されるとする派がおり、グレーゾーンとなっているのですが、新法が浸透するにつれて、家賃も最大1カ月分までとするオーナーが大半を占めるようになってきました。

- US FrontLine


家賃を前払いすることが「専門家の間でも意見が分かれる」「グレーゾーン」だったことはありません。条文も、州のガイダンスも、ニューヨーク不動産協会の顧問弁護士の答えのどれも、法律の改正当初から明快で、家賃の前払いは違法です。実際に、どの賃貸物件でも受け付けていません。(個人家主の皆様はお気を付け下さい。)

前払い禁止を定めた条文がこちらです。"Advance" が家賃の前払いであることは自明です。また、"or" の意味するところが日本語話者には分かりにくいと思うのですが、これは Deposit(敷金)と Advance(家賃前払い)のどちらであっても合算して、合計1か月分以上を先に払うことは許されない、という意味です。敷金を1か月分払うなら、家賃の前払いは一切出来ないのです。(元記事にある、「意見が分かれた」「専門家」というのは、正しい情報を入手できなかった一部の日本人不動産業界の問題ではないのでしょうか。)

“ No deposit or advance shall exceed the amount of one month’s rent under such contract. ”

NY General Obligations Law, Section 7-108(1-a)(a)
https://www.nysenate.gov/legislation/laws/GOB/7-108


NY Department of State が出したガイダンスに、さらに踏み込んで説明があります。

“ An agent representing a landlord may not request advance rent payments or security deposits greater than one’s month rent regardless of the length of the proposed tenancy. ”

Guidance for Real Estate Professionals Concerning the Statewide Housing Security & Tenant Protection Act of 2019 and the Housing Stability and Tenant Protection Act of 2019
https://www.dos.ny.gov/licensing/pdfs/DOS-Guidance-Tenant-Protection-Act-Rev.1.31.20.pdf




また、本題ではありませんが、米国在住の個人保証人を使う場合の基準についても不正確な説明があります。

前払いのほかには、保証人を付けることで審査をパスするという方法もあるのですが、実は保証人になれる基準が厳しく(基本的に米国在住者で、年収が家賃の90倍以上)、米国に来たばかりで知り合いもいない外国人や学生にとっては保証人を探すのも至難の業です。

- US FrontLine


保証人は米国在住であるだけでなく、ニューヨーク州または近隣の州に住んでいることが求められることが多数です。年収は家賃の80倍前後が一般的で、90倍を求める賃貸会社は少数です。


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