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物件評価

間取りの研究(3)フレックス

シリーズ第三回では、フレックス(Flex)をご紹介します。「1ベッド」「2ベッド」「3ベッド」など通常の区分それぞれの中間にあたり、抑えた値段で広さが欲しい時に適しています。新型コロナウイルス流行後に在宅勤務・在宅学習をされる方が増えた今、検討に値する間取りです。

マンハッタンで賃貸物件をお探しになる際、日本から渡米されたばかりの多くの方は「新しさ」と「眺望」を優先されます。築10年前後の新しめのアパートは、やや狭いものが多くなります。

しかし、新型コロナウィルスの流行により、在宅勤務・在宅学習を余儀なくされ、「家族全員が毎日を快適に過ごせる十分な生活スペースがない」との、お住まいに関するご不満を耳にします。いくつか例を挙げますと:

  • ビデオ会議中にお子様やペットが映ってしまう
  • 配偶者がリビングルームで仕事をしているため、居場所がない
  • 外出の機会が限られるので、せめてテラスが欲しい
  • 料理の機会が増えたが、キッチンが狭過ぎる

家賃が下がったとは言え、すべてを実現するには予算がいくらあっても足りませんので、今回は「 広さ 」に焦点を当て、「 フレックス 」スペースのついたユニットをご紹介します。

フレックスとは、リビングルームやダイニングルームに仕切りを設置して(※下を参照)、新たにベッドルームを作ったものです。特に、広く作られたアパートで可能になります。

※ 仕切りの種類や形状は、その建築物に適用される法律と、賃貸会社のポリシーにより異なります。最も本格的なものは、プレッシャーライズド・ウォールと呼ばれる壁です。それも床から天井まで隙間なく仕切ることが許される場合、上と片方の壁側に一定の間隔を空けなければならない場合、完全に閉じられるようなドアを設置して良い場合・してはならない場合などの違いがあります。プレッシャーライズド・ウォールは専門の業者が設置します。退去時には通常撤去しなくてはなりません。プレッシャーライズド・ウォールではなく、天井のレールに沿って開閉するパネル状の仕切りが予め設置されている場合もあります。


下のフロアプランは、アッパーイーストサイドの高級賃貸アパートのかなり広い1ベッドルームのものです。建物自体は決して新しくはありませんが、ユニットはリノベートされ、良く管理されています。

右下のダイニングエリアとリビングルームの間に仕切りを作れば、ダイニングエリアが二つ目のベッドルームになりますので、この間取りを「 フレックス2 ベッドルーム 」と呼びます。バスルームには浴槽とトイレがあり、それとは別に個室トイレが設置されています。

Floor Plan Living Room
■ 魅力ある点
ホワイエ

玄関にはホワイエがあり、コートを入れるクローゼットが付いています。新しくて狭い物件にありがちなように、入ってすぐリビングやキッチンが丸見えではありません。靴箱や傘立てを置くスペースもあり、玄関らしい作りです。

パウダールーム

パウダールーム、あるいはハーフ(0.5)バスルームは、入口横のお手洗いを指します。かなり高級な物件でないと、このようなパウダールームは付いていません。お客様を呼んだ際に、普段自分たちが使っているバスルームのトイレにご案内する必要がありません。

窓の多さ

角部屋なので窓が多数あります。このように窓が付いたキッチンも稀です。

広く使い勝手が良いキッチン

キッチンカウンターが広く、収納棚も多いので、料理に十分な広さがあります。また、高級物件では標準ですが、ガスコンロが四つ、食器洗浄機、冷蔵庫、電子レンジ、オーブンが備わっています。

ダイニングスペース

コーナーにダイニングスペースがあります。小さなお子様用のお部屋、もしくは書斎としてお使い頂くことも可能です。食事用のダイニングテーブルは広いリビングルームに置くことが出来ます。

■ 今一つな点
洗濯機・乾燥機の場所

パウダールームの奥に室内洗濯機・乾燥機(W/D)が設置されています。

ウォークインクローゼットがない

収納スペースは少なくはないものの、贅沢を言えばベッドルームにウォークインクローゼットが欲しいところです。とはいえ、この建物には共用のストレージがありますので、あまり使わないスーツケースや自転車等を預けることが出来ます。

ほとんどの2ベッドルーム住宅には2つのバスルームが付いていますが、日本ではご家族で1つのバスルームを共有されることが普通ですので、1.5バスでもあまり気にならない方が多いと思います。2ベッドルームの住宅を借りるとそれなりの家賃になりますので、1ベッドに追加スペースとトイレが付いたフレックス2ベッドは、良い代替になるのではないでしょうか。


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