間取りの研究(5)ワンルームをベッドルームとリビングルームに仕切った住宅
もともとStudio (日本でいうワンルーム)だったアパートメントに、引き戸などの簡易的な仕切りを入れ、「ベッドルーム」を新たに作り出した物件広告を時折見かけます。
2024年12月18日 最終更新
それらはまずまず古くてリノベートしたものであることが多く、ミッドタウンイーストにもあります。弊社では普通はご紹介しませんが、周囲の同じ部屋数の物件と比べて家賃が安いため、紹介を受けた方もいらっしゃるでしょう。家賃を見て好条件だと一瞬思いそうですが、よく間取りを見るとこれはおかしいと気付きます。(ちなみに、渡辺貞夫氏の1979年のアルバム "Morning Island" のジャケット写真はミッドタウンイーストの建物群が背景ですが、そのうち手前に写った白い賃貸ビルに現在この間取りがあります。)

そのような物件では、一つの部屋の窓側がベッドルームとなり、新たにリビングルームとなる部分からは窓がなくなります。通常の壁とドアで仕切ってしまうとリビングルームに外光が入らないため、仕切りはガラス付きの引き戸になっていることが多いです。遮音性はありません。また、ベッドルームとなった部分にはクローゼットがないことが多く、あっても居住スペースを侵食するように後付けで作られたクローゼットです。
ニューヨーク州の法律では、「ベッドルーム」と言ってよいのは窓が付いた部屋だけなのですが、リビングルームには窓が必須とされていないため、このような人を騙したような "1-bedroom apartment" が広告可能となります。(なお、他の州には、リビングルームにも窓が必要とするところがあります。)
間取りの研究(3)でご紹介したフレックスの場合は、広いリビングに隣接するダイニングルームを仕切って独立させたもので、仕切ったあとのどちらの部屋にも窓があるため、上の例とは異なります。