賃借・売買の着眼点

帰国時期を予め見越した賃貸契約期間と解約交渉

ニューヨークでは1年単位の賃貸契約が標準なため、「1年数か月」「2年数か月」といった半端な期間で留学や研修でいらっしゃる方は、帰国前の「数か月」をどうするか、また帰国の時期が後で決まる方はそれにどう備えるかを、NYの住宅事情(及び雇用主からの住宅補助の内容)に鑑みて注意深く計画する必要があります。

契約の時点で、退去時期が1年数か月後、または2年数か月後と決まっている場合
退去までの残り期間が1年数か月と決まっている段階で、最後の数か月の事を考えず1年契約をされると、契約を更新した上で違約金(家賃1、2か月分)を払って途中解約するか、契約を更新せずにかなり割高な短期アパートに入る選択しか無くなります。例えば次の方々に当てはまります。

  • Jビザでの研修や大学病院での勤務、Fビザでの留学を経て、ビザやI-20の有効期限通りに帰国する方
  • ニューヨーク州のBar Examを受験後、帰国したり、米国のNY以外の都市の法律事務所で一定期間研修する方

家具付き短期アパートの家賃は高額で、1ベッドなら季節にもよりますが、$5,000 から $5,500 (6か月未満の場合は約11%の税金が加わる)にもなります。相場を表わす典型的な例では、家具なしで1年契約なら家賃 $3,650 の1ベッドアパートが、短期契約可能な家具付き賃貸(サービスアパートメント)にコンバートされると、$6,000 から $7,000 に跳ね上がっています。品質への期待を下げたり、エレベーターをあきらめたり、駅から遠い立地の物件を選んでも、$4,000 を下回る1ベッドが僅かに見つかる程度です。家具が付かない賃貸物件で数か月以上1年未満の契約が許容される例も存在しますが、やはり数が少ない上、家賃が高めです。このように短期賃貸物件が高額なのは、空室期間が生じやすくなることによる機会損失費用や内装の修繕費用が家賃に転嫁されるためです。

こういった短期アパートの利用を避ける方法がいくつか考えられます。

1.退去予定に合せて「1年数か月間」の契約を試みる。季節によりますが一部の物件では、1年以上の契約を前提に、例えば「16か月契約で1か月無料」として借り手を募集しています。

2.契約書に解約条項(「60日前までに通知すれば、家賃1か月分の違約金で解約することができる」など)を追加してもらう。解約の可否、通知時期、違約金、交渉可能時期は物件管理会社によって異なります。この選択肢は、下記の方々にも該当します。

契約時には帰国時期が決まっていないが、1年以上ニューヨークに滞在後、いつでも帰国が決まる可能性がある場合
  • 駐在員
  • ポスドクで研究の区切りがつき、また日本での受け入れ先が決定してから帰国される方

解約条項を追加できる場合も、初めの1年間に解約の権利を認めてくれる家主は少なく、通常2年目から解約可能になります。また、2年目の始めの3か月または6か月間は解約できない物件があります。

解約条件を1年目の契約時には協議できず、1年後の契約更新前に初めて交渉を受け付ける管理会社も存在します。2年目の途中で退去予定の方にはとってややリスクがあり、例えば解約できるが違約金が1か月分でなく2か月分と言われることもあり得ますし、解約時期(繁忙期か、閑散期か)によって管理会社の判断が変わることも念頭に置かなければなりません。(なお、米国の一般的な傾向として、ルールがあっても個別理由に基づいて要望を出せば、例外として扱ってくれることが日本より多いようです。)

1年後の契約更新時に初めて管理会社と交渉して、思った条件で解約できないと分かった場合、もし退去日がそこからさらに1年以上先ならば、希望の条件で解約できる通常の賃貸物件への引っ越しをお勧めします。もし退去が1年以内のいつでも起こりうる場合、家賃が高いですが短期契約可能な賃貸物件に引っ越すか、契約初年度から解約が可能な賃貸物件に引っ越すことが考えられます。


賃貸契約の前に、お客様が上記のどのパターンに当てはまるのかを考え、慎重に退去までの道筋をご計画下さい。

弊社が1年目から仲介する場合では考えにくいのですが、解約できない状況にやむを得ず陥った場合、お客様のリース契約を途中から引き継いでくれる借り手(その人も審査を通る必要あり)を探すか、契約期間の最後までの家賃を払い続けるか、のどちらかになります。

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