NYミッドタウンの住宅販売がコロナ後に低迷 ~ 他の全エリアでは価格上昇
パンデミック前までのマンハッタン・ミッドタウンは、ロックフェラーセンターやグランドセントラル駅周辺のオフィスへの近さから、根強い住宅需要がありました。日系大手及び中堅企業のオフィスが多いため、日本人駐在員もよくお選びになったエリアです。しかしパンデミック後の 2021年、ミッドタウンはマンハッタンで唯一、住宅販売が不振のエリアになったとBloomberg が報じました。
2021年12月29日 最終更新
ミッドタウンウェストでは
- タイムズスクエアの西側で、59丁目から42丁目までの、ヘルズキッチン
- 超高級物件については「ビリオネアーズロウ」と呼ばれる 57丁目
ミッドタウンの中央部(ミッドタウンウェストとも分類される)では、6th Aveを中心とした
- セントラルパークのすぐ南
- ミッドタウンサウスやガーメントディストリクト
ミッドタウンイーストでは
- タートルベイ
- 5番街、パークアベニューサウス、グランドセントラル駅周辺
- マレーヒル
です。
コンドミニアムの売買数は、ミッドタウンのほとんどのエリアで 2019年より増加したものの、マンハッタンの他のエリアと比べると低調です。
売買価格はまた傾向が違います。ミッドタウンのうち、ハドソンヤーズ地区は再開発されたという特殊事情から顕著に上昇していますが、その他のミッドタウンでは 2019年1-10月期よりマイナス11%です。
ミッドタウンの住宅が不人気に転じた理由
(1)海外からの大口投資の減少
高級不動産を現金で購入していた海外投資家の購買意欲が大幅に減少し、とりわけ "ビリオネアーズロウ"、五番街、ブロードウェイ周辺の住宅販売が減少しました。ビリオネアーズロウの 2021年1月から10月の売買数は、2019年の同期間と比べ 5.9% 減少。売買価格は大幅に下がっていますが、それでも販売が悪化しています。マンハッタンの他のエリアでは住宅が売れているにもかかわらずです。
(2)オフィス街の昼間人口が減少、魅力低下
在宅勤務を許容する企業が依然として多いため、住環境の短所に目をつぶってでもオフィス近くの住宅を希望するという人が減っています。ある調査によれば、2021年10月最終週にマンハッタンのオフィスに 2.5日以上出勤した人は 28%、5日間出勤した人は 8% でした。また、今後5年以内にオフィススペースを削減すると答えた経営者が三分の一もいます。
昼間人口の減少により街の様相も変わり、魅力が低下しました。グランドセントラル駅周辺など、ミッドタウンイーストの大通りに面した一階商業スペースでは、他のエリアと比べて空きが目立っています。約 310 のスペースの 30% が空きで、これはパンデミック前の2倍超。軒下に住所不定の人が多数集まるようになった場所も増えました。
ミッドタウンからは、活気だけでなく生活の気配が薄くなっています。
(3)収益やコスパの悪さ
投資家にとっては、上記のようにオフィスや繁華街への近さを求めて賃貸を希望する人が減ったため、従来のリターンが期待できなくなりました。特に短期賃貸市場は壊滅的です。
自宅として購入する人にとっては、ミッドタウンの住宅は値段が高い割に、純粋に住む環境としては好まれなかったり、狭いことなどから、コストに見合う満足度を得られません。広くて新しい住宅は、少数ありますが高価です。例を挙げると、ミッドタウンイーストのタートルベイには、 完成から3年が過ぎた現在も分譲中の高級コンドミニアムビルディングがあります。
(4)ニューヨーク在住者が好まない
2021年以降の主な住宅購入者は、ニューヨーク在住の人たちです。パンデミックを契機に広くてより良い環境の住宅を求める人が増えました。ニューヨーカーにはもともとこれらの点でミッドタウンは不人気でした。
当チームはパンデミック前から、「特定の不動産会社のビジネスモデルに依存した物件選択ではいけない」と指摘してきました。具体的には、ヘルズキッチンのような、アメリカ人が好まないエリアの物件を、日本人駐在員の借り手を想定して購入することです。
特定の不動産会社のビジネスモデルに依存した投資は失敗します。その点を、当チームはCOVID19の前から指摘していました。
— 暮らし. ニューヨーク (@NYCRE4J) April 13, 2021
また、購入時に依頼した会社に不動産を売却してはいけません。弊社は市場から最適な購入者を探しますので、ご相談下さい。https://t.co/kfsxJnzqkg
今、マンハッタンで住宅が売れているエリア
2021年にコンドミニアムの販売が強いエリアは次の通りです。売買数の2019年1-10月期からの変化を併記します。
- アッパーイーストサイド +37%
- アッパーウェストサイド +56%
- ダウンタウンの西側である、トライベッカ、チェルシー、ソーホー、ウェストビレッジ +91%
- ハドソンヤーズ(ミッドタウンに分類されるがチェルシーの隣) +52%
- ファイナンシャルディストリクト、バッテリーパークシティ +518%
このうち、売買価格が顕著に変動したのは次のエリアです。数字は 2019年1-10月期からのおよその増減です。
- ファイナンシャルディストリクト、バッテリーパークシティ +100%(2021年の平均は約 $2 million)
- ハドソンヤーズ、チェルシー +20%
- アッパーイーストサイド +18%(コンドの数がウェストサイドより少ないため高くなりがち)
- アッパーウェストサイド +15%

当チームは、売主と利害関係を有さない、100%買い手のお客様のアドバイザーとしてニューヨークの住宅購入をお手伝いします。