NY市 住宅価格指数、米東北部 新築住宅価格

2019年7月末に発表された、5月までのニューヨーク市のケース=シラー住宅価格指数、米国東北部の新築住宅販売価格、及び現在までの長期金利を図示します。

《 住宅価格指数: 長期推移 》

一般的傾向として、ニューヨーク市の住宅価格は、景気の拡大期・縮小期に他の地域より緩やかな上下を示します。指数の基準である2000年(=100)から、2018年末に2倍になったことが分かります。(注:季節調整を行っていない数値なので、12月の方が同年の6月より下がる傾向があります。)

2018年12月から5月の5か月間で、ニューヨーク市の住宅価格は季節調整前の数値で0.16%減少しました。これに対して、米国主要20都市平均では1.9%の増加でした。(季節調整後は、ニューヨーク市が0.08%の減少、主要20都市は0.80%の増加でした。)通常変化が緩やかなニューヨーク市の指数が他の都市に先んじて減少したことは、特筆に値します。他の都市より中国など海外の投資家による住宅購入が多かったために、昨今の政治事情により、ニューヨークでの指数低下が先行したと考えられます。

《 住宅価格指数: 直近一年以内 期間別推移 》

直近1か月から3か月の期間、ニューヨーク市の季節調整後住宅価格は、減少に転じています。これに対し、米国主要20都市平均は緩やかに上昇を続けました。

注:これらの成長率は年率換算していません。つまり、12か月での4%成長と、6か月での1.98%成長(複利を勘案)は、ほぼ同じ成長率です。

《 住宅価格指数: 月次推移 》

季節調整後の指数の月次推移を示します。2018年9月から2月まで連続5か月間、指数が上昇した後、3月から微減が続いています。(3月の数字は、5月に出された速報値では増加していましたが、その後、0.2%減に修正されました。)3月は、それまで小康状態だった米中関税問題が再燃した月です。不動産の購入を検討していた人々が、不動産以外のアセットクラス(特に株式)の資産の目減りのために慎重になったり、中国人の米国への投資が(中国政府の指示も受けて※)さらに減少したことが、平均住宅価格に影響しています。

※ Wall Street Journal, “Chinese Exiting U.S. Real Estate as Beijing Directs Money Back to Shore Up Economy”, 1/29/2019.

前年同期比に関しては、2018年の春から夏にかけても住宅販売が少なかったことにより、直近でも約2%の増加率を保っています。


  • 2018年は、年末近くに持ち上がった米中関税問題や中国の景気減速を考慮すると、住宅価格が堅調に上昇を続けたと言えますが、2019年に入ってからは経済的不安定要素がかつてなく大きく認識され、住宅価格への影響も拡大しました。
  • 米国30年固定金利モーゲージ(住宅ローン)の平均金利は、2018年11月に4.82%のピークを迎えてから、2月までほぼ横ばいで4.40%前後を推移しましたが、3月にはFRBの金融政策に軌道修正があったことから下降を始めました。金利の低下が住宅需要を下支えしているところもありますが、それは(米国で住宅ローンを組めない)海外からの投資家にはあてはまらず、住宅価格指数の低下につながっていると考えられます。
  • 数ミリオンドル以上の高額な住宅には、値付けがアグレッシブ過ぎて値下げを余儀なくされているものが多くありますが、それより低めの価格帯では、そういった値付けの物件の比率が少なくなります。
  • この住宅価格指数と新築住宅価格とは動きが一致しません。新築物件が少なく人気がある地域では、値下げしなくても売れています。
《 新築住宅販売価格 》

米国東北部の新築住宅販売価格の四半期毎の推移を示します。ニューヨーク市のケースシラー住宅価格指数より、この地域の新築住宅販売価格は高い伸びを示しています。

マンハッタンやその周辺の住宅価格は、この二つの折れ線のうち、「平均値」の価格帯に近いと言えます。

平均値の上下が中央値の上下より大きいのは、比較的少数である高額物件の販売価格が平均価格に大きく影響するためです。また、上下そのものには季節要因があり、ここ数年は毎年第3四半期(つまり学校が始まる前の3か月)に最も高くなる傾向があります。

《 米国30年固定住宅ローン 平均金利 》

過去5年の推移を示します。現在3.70%と、過去2年間の最低金利付近です。出典:Bloomberg

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