NY不動産購入の始めの一歩
「まずは物件を見たい」 とご自身でセールスオフィスを訪れたり、物件を広告する不動産会社にお問い合わせされることはお勧め出来るやり方ではありません。それでは何から始めるべきでしょうか。
まず、当チームにご連絡下さい
当チームのようにニューヨークの慣習に詳しい不動産エージェントにご相談頂き、仲介の代理人としてご指定下さい。お客様の経済状況、各種条件、ご興味ある地域や物件を伺い、Buyer's Agent(買い手のお客様だけのエージェント)として物件をお探しします。
仲介手数料は家主が負担します。
ご自身で売主側不動産エージェント(新築物件のセールスオフィスを含む)にコンタクトするのは、次の理由により避けるのが賢明です。
慣習が独特で厳しい
ニューヨークの不動産取引は米国の中でも独特で、厳しい慣習や決まり事がたくさんあります。物件の広告主にご自分でコンタクトして、たまたま見に行くことができても、お客様の経済状況や支払い計画次第では、購入のオファーすら入れられず、金融機関も住宅ローンを出してくれません。
ニューヨークでの不動産取引の経験が複数回ある方でない限り、どういった基準で探すべきなのか、何がクリティカルな問題なのかを、皆様はご存じありません。敢えてわかりやすい表現で申し上げると、アマチュアとプロとの違いが非常に大きいのです。
買い手のお客様が Buyer's Agent を同行させずにご自身のみで内覧すると、売主を代理する不動産エージェント(つまり広告主)は、「まだ本気で物件購入を検討する気がなく、単に見たかっただけ」と考えたり、「取引を遂行するだけの知識がない」と想定して、真剣に取り合わないことがあります。
相手は売主の利益を代弁している
相手方の不動産エージェントは、売主と契約を結んだ売主の代理人(Seller's Agent)です。買主の代理人(Buyer's Agent)ではありません。その点は、新築物件のセールスオフィスでも同じです。表面上はフレンドリーに対応しますが、買い手候補の情報を収集し、どのくらいの価格なら取引が成立しそうか、審査に通りそうな人物かどうか等を判断しています。売主の利益のために仕事をしていますので、買い手が物件を偏りなく判断するために必要な情報を積極的に出してくれる動機は持っていません。買主に有利になる交渉をさせてくれることもあり得ません。
さらに、一度ご自身で物件をご覧になってしまうと、売主側の代理人が買主も同時に代理する Dual Agent になる場合があり、後から Buyer's Agent が取引に関与することは出来なくなります。"Dual Agent" とは名ばかりで、売主と買い手の利益を同時に最大化することは不可能です。実際に、多数の州では Dual Agency を法律で禁じています。
「 Buyer's Agent となる不動産会社を使わず、自分で取引したい」 とお考えの方もいらっしゃると思いますが、売主側の不動産エージェントに徒手空拳で向かっていく状況になりますので、良い Buyer's Agent をお使いになるべきです。仲介手数料は売り主が負担しますから尚更です。
実際のところ、きちんとした売主側不動産会社には、利益相反になる状況を避けるため、お客様にご自身の Buyer's Agent を使うよう勧めるところがあります。
金融機関からの事前承認が必要
全額現金でご購入される場合を除き、通常は物件の内覧前に、銀行から貸し出し可能額についての事前承認を取得します。雇用・収入証明やクレジットスコア、納税申告書類等を審査して、事前承認(Pre-approval Letter)を発行してくれます。
物件を購入することになれば、金融機関はさらに、お申込み先のコンドミニアムやコープの建物を調査し、様々な基準をクリアした場合にのみ融資のコミットメントを行います。事前承認の段階でも、銀行が恐らくローンを出さないと私たちが推定できる物件がありますので、それらを候補から外すか、別の資金調達方法を考えなくてはなりません。
不動産専門弁護士の起用
ニューヨークでの不動産購入には、通常、不動産専門の弁護士を用います。契約書の文言のみでなく、建物全体のルールや修繕計画など膨大な文書を幅広くチェックし、さらに登記や住宅ローンなど他分野の実務家と連携して契約締結を支援します。
移民法など他分野と掛け持ちした弁護士をお使いになると、不動産の専門家にとっては当然のことが進められなかったり、要点を見逃してお客様が著しい不利益を被ることがあります。
管理組合ごとのルールを満たす必要
コンドミニアムやコープの管理組合はそれぞれに、住宅ローンの利用限度や、投資物件として購入後の貸し出し、売却までの最低期間などについて、独自の条件を設定しています。その意図は、建物全体の価値を維持したい、購入者が将来メンテナンスフィー(コモンチャージ)を払えなくリスクを下げたい、またコープの場合には、転貸による住民の入れ替わりを抑えて安定したコミュニティーを維持したいといったものです。
それらの条件は一般消費者向けの不動産情報サイトでは公開されていませんので、不動産エージェントにご依頼いただかないと、申し込み可能な物件を効率よく探すことは出来ません。
以上をご自分でクリアして取引を完遂するのは難しい、と結局お考えになる方が殆どです。この次のステップは次のようになります。
弊社が物件を調査・比較、内覧を設定
物件選びや内覧の始めから、上記のような検討ポイントを念頭に置き、”クリティカルパス” に入る重要事項を早期に確認したり、外部専門家の起用時期を計画します。新築物件の場合は、Offering Plan (売出し時にスポンサーが作成し、州当局にも提出する詳細な解説文書)を入手します。
物件の状態、間取り、購入後のランニングコスト、購入時の費用(他州にはない税金も)にとどまらず、物件周囲の開発状況・開発可否、管理組合の運営状況(財務およびガバナンス)、購入者に課されるルール、将来売却する時の制約、売却時に税務メリットをとるための購入方法を専門家に相談するなど、確認すべき点が多数あります。
さらに、多くの方が軽視しがちな点ですが、不動産エージェントには、大量の公的文書(契約や関連する情報を含む)を読んで理解できる、高い英語力・読解力・事務処理能力が不可欠です。
外部専門家のご紹介
実績ある不動産専門弁護士や複数銀行の融資担当者をご紹介します。誰を起用するかによって、クロージングまでのプロセスや時間に大きな差が出ます。
英語のコミュニケーションは当チームがサポートします。
お申し込み後の審査を支援
管理組合に提出する書類や面接の準備など、すべてのプロセスにおいて当チームが買い手のお客様をサポートします。
審査においては、推薦状など書類の提出で済む場合と、面接が必須とされる場合があります。難易度は物件により全く異なります。
例え代金を全額現金で用意できても、簡単に審査を通してくれるとは限りません。人物、職業、継続的収入などの面で説得力が必要です。米国の有名人でも審査が通らなかった例がありますし、日本からいらっしゃる方でとりわけ会社員ではない場合、通常より厳しい目で見られることは免れません。
2022年8月5日